アセスメントでくみとれる「利用者の希望」

アセスメントを綿密に行うことで、ケアマネは利用者本人とご家族にとって最大の理解者となり、お互いの信頼関係の構築につなげることができるのです。

注意すべきは、望んでいる生活を阻む問題だけでなく、利用者が現在「生活上行っていること」「できていること」もピックアップすることです。そこには「利用者が望む生活への思い」が隠されているからです。

アセスメントをする介護支援専門員

アセスメントでくみとれる例

〇利用者の状態

・以前に転倒骨折して以来、自力歩行が困難

・自宅に手すりなどはないが、家具などにつかまって自力で移動し、排泄も自力でトイレを利用している。

〇「生活上行っていること」「できていること」

・自宅内では周りの家具などにつかまって歩いている

・トイレには何とかつかまり歩きながら、自分で行っている

〇以上の情報からくみ取れる本人の希望

・家族に迷惑をかけずに、自宅でなるべく自立した生活を送りたい

・住み慣れた自分の家で、ずっと生活したい

事例から見えるもの

上の例なら、自力歩行が困難でも在宅で頑張って歩いて生活している、という事実の裏には、移動やトイレなどで家族に迷惑をかけたくない、住み慣れた自宅でこれからも生活していきたい、という本人の希望が隠されていることに、ケアマネは気がつかなければなりません。

こういった「隠されたニーズ」も見落とさず課題をピックアップしていき、ケアプラン作成の材料をみつけだします。

なお、課題分析の内容はケアマネだけがわかっていればいいものではなく、利用者本人やご家族も共通の理解のもとで行うようにします。

ケアマネジメントの流れ

ケアマネジメントの流れを改めて確認する

仕事のつながりを理解するのが大切

まずは、こちらのケアマネジメントの流れを見て確認すること。研修などで見たことがあると思う。

ケアマネジメントの流れ

以上がケアマネジメントの流れであるから、しっかりと覚えておくこと。ただし、単純に流れを覚えるだけでなく、1つひとつの作業の意味とお互いの関連性を理解したうえで、次の仕事につなげていくことが大切である。

①アセスメント

今回はアセスメントについて紹介する。アセスメントがケアマネジメントの土台になるのはご存知と思う。また、ケアマネジメントでは、アセスメントが最も重要である。

この作業がこの後につながっていくという意識を持って行うこと。

理学療法士の二人

アセスメントの目的

〇利用者の生活状況の確認

〇利用者のご家族の生活状況の確認

〇介護サービスを利用するに至った問題の確認

〇表面化しているニーズ及び、隠されたニーズや問題の発見

〇利用者の強みの発見、援助の方向性の設定

〇目標の設定

アセスメントは「課題分析」と言われ、利用者とご家族の置かれている状況や環境を調査し、双方がどのような生活を希望しているのかついて聞き取ることである。

その希望に沿った生活が営めないその理由、目標設定につなげるのがアセスメントである。

こういった課題や目標がケアプラン作成の材料となるので、課題分析は見落としがないよう行うことである。

新型コロナウイルスの発生で介護現場は混乱!!

新型コロナウイルス感染拡大により、今介護現場も経験したことがない対応に迫られている。

施設内感染拡大防止のため、介護事業所においては通所サービス受入の休止をせざる状況にあり、その代替の介護サービスとして利用者の自宅へ訪問して通所サービス同様のサービス提供への変更等、介護事業者がは様々な抱える課題がとても多い状況である。

それに伴って大変な対応を行っているのが介護支援専門員である。通常介護保険制度の介護サービスを受けるためには介護支援専門員が作った介護認定者のケアプランが承認されて初めて介護サービスを受けられる制度である。

当然通所サービスもそのケアプランに基づいてサービスの必要性があって利用できるのだが、今回色んな介護サービスの利用が新型コロナウイルス感染拡大で変更となっている。

このため、介護支援専門員は現行のケアプランを見直す作業が発生する可能性がある。介護支援専門員の業務は通常でさえ忙しい日々であるのに、更に過酷な業務を行うこととなる。

コロナウィルスの感染拡大防止を考える介護支援専門員

介護職員・介護支援専門員等、介護関連の職種に携わっている方々に敬服するものである。また、一刻も早くこのコロナウイルス感染拡大が終息することを願うものである。

なお、厚生労働省より令和2年3月6日付け、事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取り扱いについて」が発出されているので参考にされたし。

内容は、一問一答集となっていて介護現場の対応の仕方や介護報酬の算定の仕方など介護支援専門員にとって、参考になる内容である。

 

介護支援専門員(ケアマネジャー)に必要な能力とは

先に介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務について紹介したが、ここでは介護支援専門員(ケアマネジャー)に必要な能力について掲載する。現職の介護支援専門員(ケアマネジャー)は再確認事項として、また介護支援専門員(ケアマネジャー)を目指している方は求められる今後求められる能力としてご覧いただきたい。

 

介護支援専門員(ケアマネジャー)は、様々な能力が求められる

介護支援専門員(ケアマネジャー)として働くには、介護保険や医療、福祉の制度や現状を把握するのはもちろんであるが、特に次のような能力が元られる。

介護保険の説明をする介護支援専門員

コミュニケーション能力

要介護者や家族のニーズを把握するためには、コミュニケーション能力が求められる。特に受付時や初回のインテークの際には、話のしやすい聞き上手になることが望ましい。言葉だけでなく、態度や顔色から感情をつかむことも大事である。

 

コーディネーション能力

利用者が抱えている問題を解決するためのケアプランを作り上げるには、コーディネーション能力が必要である。

ケアプラン作成後も、介護支援専門員(ケアマネジャー)はサービスの利用状況を管理して利用者とサービス提供事業者、さらには事業者同士のつながりをうまく保って行かなければならない。

また、利用者が入院した場合は事業者に連絡を入れ、退院後にはサービス再開の連絡を行うことも大切な役目である。

 

情報収集能力

介護支援専門員(ケアマネジャー)は、サービス提供事業者が実際にどんなサービスを行っているのか、新たな利用者を受け入られるのかなど、つねに情報収集をしておく必要がある。また、介護保険サービス以外で、自治体が独自に行うサービスなどの情報も、常に集める必要がある。情報収集を行うことで、いろいろな利用者への対応をスムーズに行うことが出来る。

介護支援専門員の具体的な業務(施設編)

介護保険施設とは

今回は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の配置が必置となっている介護保険施設における業務内容を紹介する。まず介護保険施設の主な施設は、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院がある。

 

ディサービス利用者

介護老人福祉施設

特別養護老人ホームは、65歳以上の人で、身体上や精神上著しい障害があり常に介護が必要で、自宅での介護が困難な方が対象となる。要介護度では、原則「要介護度3以上」の方が対象となる。

 

ただし、やむを得ない事情がる場合は、要介護度1や要介護度2の方でも入所できる。なお、やむを得ない事情とは、一人暮らしで認知症を発症し常に見守りが必要な方や家族からの虐待を受けている場合などである。

 

特養に入所すると、食事や、入浴、排せつ、機能訓練、健康管理などのサービスが受けられる。

 

※1日当たりの施設サービス費(1割負担)の目安

要介護3 697円(従来型個室) 697円(多床室) 778円(ユニット型個室・ユニット型個室的多床室)

要介護4 765円(従来型個室) 765円(多床室) 846円(ユニット型個室・ユニット型個室的多床室)

要介護5 832円(従来型個室) 832円(多床室) 913円(ユニット型個室・ユニット型個室的多床室)

△2020年1月時点、地域や施設により負担金額は変わってくる。

 

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、要介護1以上の方が対象で、病院で治療を終えて病状が安定した方をリハビリに重点を置いて機能訓練などを行う。

 

要介護者に対し、介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成する施設サービス計画に基づいて、看護や医学的管理の下に介護と機能訓練、その他日常生活を行う上で必要な介助を行う施設である。

 

※1日当たりの施設サービス費(1割負担)の目安

要介護1 701円(従来型個室) 775円(多床室) 781円(ユニット型個室・ユニット型個室的多床室)

要介護2 746円(従来型個室) 823円(多床室) 826円(ユニット型個室・ユニット型個室的多床室)

要介護3 808円(従来型個室) 884円(多床室) 888円(ユニット型個室・ユニット型個室的多床室)

要介護4 860円(従来型個室) 935円(多床室) 941円(ユニット型個室・ユニット型個室的多床室)

要介護5 911円(従来型個室) 989円(多床室) 993円(ユニット型個室・ユニット型個室的多床室)

△2020年1月時点、地域や施設により負担金額は変わってくる。

 

 

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、長期療養を必要とする重度の要介護者や寝たきりの方を、医学的管理の下で介護を行う施設である。また、介護士や看護師も常駐しているので重度の介護者でも安心して施設入所ができる。

なお、状態が改善した場合は、退所する必要があるので長期にわたり住み続けることが出来ない可能性がある。

 

 

介護医療院

介護医療院は、平成30年4月の制度改正により創設された。長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者を対象とし、「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能を兼ね備えた施設と厚生労働省は説明している。

 

先に説明した、介護療養型医療施設は平成30年4月より介護医療院に順次転換されていくものである。

 

施設の介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務

施設の介護支援専門員(ケアマネジャー)は、通称「施設ケアマネ」と呼ばれ勤務先は上記で紹介した介護保険施設になる。

 

施設ケアマネの業務とは

介護保険施設に入居者ごとに施設サービス計画(施設ケアプラン)を作成することである。施設サービス計画(施設ケアプラン)の作成手順は、本人・家族の意向を中心に、健康状態や生活上の課題を踏まえて、介護・看護・機能訓練・口腔機能改善・栄養などの個別援助計画を組み立てる。

また、施設サービス計画は、入居前の面談で本人や家族と話をして、暫定プランを立てることからスタートする。

 

このように介護支援専門員は、居宅業務や施設業務と多岐にわたる業務に専門性を持って日々対応している。

 

本年も、介護支援専門員実務研修受講試験も10月11日(日)に全国統一で行われるが、介護支援専門員(ケアマネジャー)を理解し多くの方が挑戦してほしい。なお、下記のサイトは、ケアマネジャーについて詳しく紹介していあるので参考にされたし。

 ☞ケアマネジャーを目指しているあなたへ!

 

介護支援専門員の具体的な業務(居宅編)

先に介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務を簡単に紹介したが、今回は少し掘り下げて紹介して、介護支援専門員(ケアマネジャー)が大変な業務を行っていることをご理解いただきたい。

介護支援専門員

居宅における業務

①要介護認定に関する業務

居宅で、介護や支援を必要とする人が介護保険制度を利用してサービスを受ける場合、市町村に要介護の認定を受ける必要がある。この時に、介護支援専門員(ケアマネジャー)は、ほとんど本人や家族に代わり申請の代行を行っている。

 

これは、高齢者のみの世帯であったり、独居老人世帯などで介護保険制度を利用したいがどうすればわからない方が多いという現状である。まさに、高齢社会の現状である。相談を受けた介護支援専門員(ケアマネジャー)が、介護保険の申請の代行を多く行っている理由である。

 

また、要介護認定に伴う訪問調査も市町村から委託を受けて代行することもある。

 

②ケアプラン(居宅サービス計画書)の作成

次に、介護支援専門員(ケアマネジャー)は、要介護認定後、要介護度ごとに定められているサービス限度額内で、認定を受けた要介護者が必要とする介護保険サービスが利用できるようにケアプラン(居宅サービス計画書)を作成する。

 

ケアプラン(居宅サービス計画書)の作成に当たっては、要介護者のサービスのニーズを調査・分析(アセスメント)する。そしてこのアセスメントがケアプラン(居宅サービス計画書)に反映するように作成していく。

 

③サービス事業者との連絡調整

ケアプラン(居宅サービス計画書)の作成が済むと、実際にケアプラン(居宅サービス計画書)に基づいた介護保険サービスができるように関係事業者などとの連絡調整を行う。

 

関係事業者とは、介護認定を受けた要介護者にサービスを提供する事業者で、契約条件の確認や日程の調整などを行って、介護保険サービスを提供する。

 

④観察(モニタリング)と再評価

最後に、介護支援専門員(ケアマネジャー)は、ケアプラン(居宅介護計画書)に基づいた介護サービスが適切に提供されているかを、介護認定者、サービス提供事業者の双方から情報を収集し、モニタリングを行う。

 

モニタリングを行ってケアプラン(居宅介護計画書)に修正が必要な場合は、修正を行い、介護保険サービスがニーズあったものにしていく。

 

⑤給付管理業務

介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務で、①~④までのサイクルを一つとして、介護給付費の請求事務がある。

 

介護支援専門員(ケアマネジャー)は、事業者がケアプランに書かれた計画通りにサービスを提供したかどうかを確認し、必要書類を作成して国民健康保険団体連合会に送り介護給付費の請求を行う。1カ月ごとに請求の手続きを行うもので、こういった給付管理業務もケアマネジャーの大事な仕事である。

 

これが居宅における、介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務になる。ここに表記しれない細かい部分も多くあるが、高齢者や介護保険認定者のために忙しい日々を送っているのが介護支援専門員(ケアマネジャー)である。

介護保険法第7条第5項介護支援専門員(ケアマネジャー)とは

平成9年12月に、超高齢社会の到来や家族形態の変化などを背景に、介護を社会全体で支える仕組みとして、介護保険制度が発足した。

介護支援専門員とは

介護保険法第7条第5項で定められた、介護支援専門員とは、要介護者・要支援者の相談や心身の状況に応じ、介護保険サービス(訪問介護、デイサービス等)が受けられるようにケアプラン(要介護・要支援サービス計画書)の作成から市町村・介護保険サービス提供事業者・介護保険施設等との連絡調整を行う者。

ヘルパーと利用者家族

 

介護支援専門員の現場での呼称

介護保険法では、介護支援専門員で明記されているが、現場での呼称は、ケアマネジャーと呼ばれることが多い。

 

また、介護支援専門員は、専門員と名が付くように、要介護者や要支援者が自立した日常生活を営むことができるような、必要な援助に関する専門知識や技術を有する者であって、都道府県知事から介護支援専門員証の交付を受けた者。

 

主な業務内容は、大きく分けて居宅における要介護・要支援者に関連する業務と介護保険施設における要介護者に関する業務と二つに分かれる。

 

介護支援専門員の主な業務

①居宅における業務とは

要介護者や要支援者の相談を受け、ケアプラン(要介護・要支援計画書)を作成し、介護保険居宅サービス事業者等との連絡調整や入所が必要となった場合には介護保険施設への紹介等の業務を行う。

 

②施設における業務とは

介護保険施設等の介護保険サービスを利用している利用者が、自立した日常生活が営まれるように支援するため、解決すべき課題の把握を行ったうえで、介護保険施設サービス計画を作成する。

 

この様に、介護保険法で位置づけられた介護支援専門員は、介護保険制度の運営上、とても重要な位置づけとされており、要介護者・要支援者が自立した日常生活ができるかできないかは、介護支援専門員の資質にかかっている。

 

介護支援専門員(ケアマネジャー)の必要性を広く周知し、介護保険制度がスムーズに運営ができて、高齢社会が安定したものになることを希望する。